映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ダニー・ボイル監督「イエスタディ」2322本目

ふーむ。設定は面白いし、リリー・ジェームズは可愛いし、ヒメーシュ・パテルは可笑しいし、終わってほんわかするけど、ダニー・ボイルってこんなにヒネリを利かせない監督だったっけ?「スコットランドで一番汚いトイレ」みたいなインパクト、あけすけな生活感、そういう映画はもう作らないのかな?なんかもっと・・・もっともっと・・・。(うまく言えない)

ボヘミアン・ラプソディ」よりは、愉快なセンスなんだけどね。世界で唯一(いやほかに2人)ビートルズを覚えてる売れないシンガー・ソングライターがインド系の自信のない男で、彼を愛し支える学校教師は誰からも好かれる、愛嬌のある美人。オアシスも存在しない、ってのがいいよね。彼らは明らかに「ビートルズを覚えてる人たち」だからね。

(ネタバレあり)ジョン・レノンは声がハスキーで全然違うけど見た目はかなり似てる。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」みたいに、監督が”その事件が起こらなかった世界”を作りたかったのかな。

オチは題材を決めた時点で最初からわかってるので、いいとも悪いとも・・・

しかしいざ、この状態に突入したとして、歌詞までこれほど思い出すなんてすご~く大変だろうな。残りの二人と組んでやればよかったのに。

つまり、「What If」SFとしては、かなり物足りないし、あんまり皮肉も効いてないしどこのトイレも汚くない、そんな映画だったのでした。なんとなく見た!という満足感はあるんだけどな・・・。

ちなみに、たまたま、来年あたりリバプールってところに旅行してみようと思ってた矢先にこんな映画やられちゃったら、観光客ただでも多いのに、きっと混むよね~。