面白いなぁ。
全然期待しないで見たけど、なんでこんなに面白く感じるのか?大木実と宮口精二のコンビが地に足の着いた刑事たちらしく、旅館の人たちも銭湯の人たちも皆魅力的です。その中で、ひときわ地味で印象の薄い高峰秀子。いや、このままで終わるわけがありません。
なにしろこの時代背景がなんとも良いですよね、トンネルで窓を閉めないと顔が真っ黒になる蒸気機関車、冷房も何もない宿の二階、トンネル工事の発破。川のなかではしゃぐ男と女。宿に備え付けの水玉の急須と湯飲み。
しかし、相当な至近距離で尾行されまくって、これほど気づかないことがあるもんなのか。昔の人は刑事ドラマとか見てないから、張込みも尾行も知らなかったんでしょうかね。
田村高廣が若くて可愛くて、面倒をみたくなる気持ちがなんとなくわかってしまいます。そして豹変した高峰秀子。「毎日毎日身体がだるいような・・・生きがいってものが・・・そういうものが・・・」もともと彼一筋だったわけではないのに、今の生活に倦んで昔の男を懐かしんでいるわけです。人物描写が生きてるんだな、全員。それぞれの哀しみがあふれてきて、胸に残る作品になってる。
DVDに収録された「シネマ紀行」も面白かった。昔の名画って、ほとんどもう戦国武将の活躍とかと同じ史実になってるんだな・・・。