映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督「メリー」2275本目

ヒッチコックの古い映画を次々に見ています。ヒッチコックいいわ。大方有名な作品を見尽くした後にまだ、こうやって”ヒッチコックを見る楽しみ”を味わうことができる。エンターテイメント的な楽しみのある映画を作る監督は、こういう意味で偉いと思う。きっと驚かせてくれる、きっと不思議なカメラワークを見せてくれる、ええっ!とか、やっぱり!とか思わせてくれる、という期待感。

というわけで、この映画は監督自身の「殺人!」という作品のドイツ語版リメイク。Maryをメリーって書くのってメリーさんの羊に始まりメリー喜多川で終わった(別の映画の感想でも書いたな)と思うけど、これはドイツ語なのでメアリーじゃなくてメリーが正しいのではないかと思います。

「殺人!」の方がわかりやすかった気がするなぁ。この映画は尺が短いこともあってか、冒頭の「キャ〜〜」の後すぐに陪審員の場面、という感じです。ビジュアル的にも、女装の俳優があまりにゴツくて・・・。

こちらの映画でも、「ダイアナ」=メアリー役は真面目で可憐な女優さんで、彼女を救おうとする舞台監督で陪審員の「サー・ジョン(名前同じ)」はやっぱりお上品な紳士。留置所のメリーとサー・ジョンが長いテーブルの端と端で会話する画面の面白さも同じ。壊れた洗面台と窓の位置関係とか「殺人!」と全く同じなんだけど、同じセットか。

でも動機が違った!<以下ネタバレ>

「殺人!」の彼は実は有色人種の血が混じっていて同性愛者。

「メリー」の彼は逃亡中の犯罪者。今考えると、ドイツとイギリス逆な気もするけど、当時のそれぞれの社会で何が禁忌とされていたか、という文化的な問題だと思うと興味深いです。

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