映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ペドロ・アルモドバル監督「アタメ」2249本目

アルモドバル監督の作品はいくつか見たけど、こんなに昔のを見るのも、アントニオ・バンデラス出演作品を見るのも初めて。最近の作品は熟成されてて深い~と思うことが多いけど、この作品って、もっと、カラフルでやんちゃで、おもちゃ箱みたい。浴槽の中で子どものおもちゃが突進してくる場面とか、どう考えても監督のお遊びだし。

その中で、エキセントリックでちょっとヤバいストーカーを演じてるアントニオ・バンデラスだけ目が怖い!・・・といってもこの監督の作品は暖かいので、ミヒャエル・ハネケの作品みたいに殺戮の場面にはなりません。いや、そもそも、精神病院に長く入ってたにしては日焼けして筋肉質だし、設定に無理があるといえばあります。

マリーナのほうも、最初からなんとなく、まんざらでもなさそう。以前バーで会って何かあったくらいだから、嫌いなタイプではなかったのかな。でも普通は、ちょっといいなと思ってた人に拉致監禁されたら憎さ100倍だと思う・・・。だけど、情にほだされるエピソードがあって、結ばれたあとはもう、ただの仲良しになります。

あちこちに、屈託のない笑いがあって、バカだけど憎めない愛情あふれる奴ら・・・。彼女のマネージャーをやってる姉が、ポジティブで強くていいキャラクターですよね。妹を拉致監禁されても、事情を聴いて「仲直りのキスで水に流しましょ」。ああ、こんなさっぱりした性格になりたい。

ストーカーと恋をすることってありうるのか、考えてみる。自分のために殴られても戦ってくれるし、最初から家族になりたい、子供がほしいと言ってくる男って、こんなセクシーな女性にはあまり寄ってこないかもしれないので、訴えかけるものがあったのかもなぁ・・。まぁこれはコメディ映画だからこれで一件落着だけど。

なんともチープな電子音楽が使われてるのも、B級っぽくて面白い。この監督がのちに、本格的な映画賞を受賞する作品をきたんだなぁ。