映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴェルナー・ヘルツォーク 監督「アギーレ・神の怒り」2248本目

この監督、いかれてるなぁ。だいたいドイツ人なのになんでこんなロケ隊まで組んでスペイン人の映画をドイツ語で作る必要があったんだ?誰が出資したの?いいけどやりすぎじゃね?・・・日本の昔のアニメも宝塚もヨーロッパとかが舞台のものが多いけど、少なくともロケ隊出してないですから。

でもこの監督の「カスパー・ハウザーの謎」は好きなんだ。カスパー・ハウザー役の俳優をわたしはエレカシの宮本になぞらえたんだけど、この映画のアギーレは「inu」の頃の町田康みたいだ。イカレてる人には独特の魅力がある。それに、彼が製作総指揮をした「アクト・オブ・キリング」はすごい映画だった。ヘルツォーク監督は、「地獄の黙示録」を監督する機会があったら受けたんじゃないかと思う。映画黎明期には“南海の孤島の動物の怪異”みたいな映画もたくさんあったので、そういうのを見て育って、未知の大陸や自分に想像もつかない世界に対する憧憬が抑えられない、そんな大人になったんじゃないか・・・などと妄想します。

彼ひとりが生き残るってシナリオは、原住民としてはありえないと思うんだけど、ドン・キホーテ性を際立たせるのが監督の意図なんだろうな。このラストシーンの、まるで明日が普通にくると彼が思っているかのような太陽の明るさ、風景のおだやかさが不思議。映画を見る前に感想をたくさん読んだので、ホドロフスキー監督みたいな異様な映画なのかと思ったら、目に見える狂気が描かれてるわけではなかった。そういう意味でも、狂人というより小独裁者って印象でした。

アギーレ・神の怒り [DVD]

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