2009年のマレーシアの映画。
「いい映画だった」と書けばそれで終わっちゃうんだけど、この気持ちの機微をどう表せばいいか。
見終わってハッピーハッピー♪な気持ちになる、というのとも違う。
やさしい気持ちではあるんだけど、よかったよかったというのとは違う。
世界は今までもこれからも緊迫していて、自分の信じるもののために戦わなければならない(と感じる)人はこの先も刃を向けあう。
だけど人には感じやすい傷つきやすい部分があって、ふとしたときにそれが通じ合う奇跡が起きる。
まるで違う言語で話す人どうしの会話が完璧にかみ合うみたいに。
マレーシアって国は、けっこうダイバーシティをうまく共存できてる国なのかと思ってたけど、この映画で描かれる対立は民族、宗教、障がい、世代、貧富、と幅広い。そこに病気、死、というファクターも盛り込まれて、誰がどの家の子で、誰のおじさんがどうなんだっけ、と大勢が搭乗して複雑です。ストーリーには「たまたま」「偶然」も多い、ある意味監督の描きたい世界の都合が詰め込まれてる。でも、あれは多分寓話化された「現実」なんだと思う。最後のアンサンブルがいかに美しくても、翌日また宗教紛争で誰かが泣くのかもしれない。
どんなに現実が苦くても、純真に自分の心のままに生きればいいよ。と言ってもらったような気がします。
ありがとう、と言いたいです。