映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ペドロ・アルモドバル 監督「トーク・トゥ・ハー」2213本目

アルモドバル監督の視点は、面白いわ。今までは、ラテン・ヨーロッパ的だなとか思ってただけだったけど、繊細にものごとを観察して、おや?と引っかかったところを掘り下げる人なんだな。

<以下さっそくネタバレ>

その視点がすごくニッチなんだけど、「言われてみると確かに気になる」。新聞でたとえば、昏睡状態の女性が看護師の男性によってレイプされて妊娠・出産したという事件を見かけて、それは単に獣のような性的衝動によるものなのか?もし、そうでなかったとしたら?と掘り下げていくことで、こんな映画ができるのかもしれない。あるいは、昏睡状態に陥ったあとで、実は前の恋人とよりを戻していたことがわかったとしたら・・・。

看護師を演じてるハヴィエル・カマラは、なんか印象に残ってるなと思ったら「バッド・エデュケーション」の”綺麗くないオカマちゃん”を演じた人だ。 この役も、物腰が柔らかいのに、内にこもる思いを積み重ねていく人物。彼女の父親から見れば、とんでもないストーカーで変態だろうけど、ある意味純粋に彼女をひたすら愛した男でもある。よくこれだけ物語を膨らませられるなぁ。私はこういう、ラテン的にほとばしる妄想力を、高く評価する。私にはここまで自由に想像をふくらませる才能はないから。

やっぱり、この監督の作品はもっと見てみなくちゃ・・・。

トーク・トゥ・ハー (字幕版)