映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ブライアン・デ・パルマ監督「スカーフェイス」2204本目

デ・パルマ監督の映画には、ものすごくいい映画とダメダメな映画があるけど、ものすごくいい映画にも、とてつもなくB級感が漂う。これは、B級感に満ちた傑作のほう。最悪に悪趣味で、最高に痛快。娯楽、エンタメってことの安っぽさをわかってる、あるいは染み付いてる。バカ売れするマンガみたいな映画だ。だからデ・パルマ監督って好き・・・。

一流の俳優たちが、真剣な顔をして滑稽な愚者を演じる。見てる人たちが、ちょっと自分たちより下に感じて、スクリーンを指差して爆笑できるような。アメリカの子どもたちが「stupid!」って大笑いするような。で、笑った後で「あいつ超カッケー!」って改めてリスペクトする。これこそカルト映画。

冒頭のアパートの壁がピンクと水色で、クラシックカーが走り回ってたりするフロリダが舞台なのがキューバ移民の町らしくて新鮮。アル・パチーノ演じるトニー・モンタナは、反骨心が身体から溢れ出しそうな若者だけど、大志があるわけじゃなくて大きく粋がってるだけ。やたらマウンティングしようとする取引先の生意気なやつ、みたいな感じに思えてしまいますね。運が良ければそこそこ成績を上げたり、まあまあ偉くなったりするけど、どんなに大きく張っても虚勢は虚勢。と最初から見切った感じで見てしまうのですが、この、偉ぶってるだけのチンピラっぷりが最初から痛くていいんです、アル・パチーノ

レンタルしたBlu-rayは特典も豊富で、出演者、映画をノベライズした作家、ゲーム(そんなものまである)でトニー・モンタナやジーナを演じた声優、デ・パルマ監督自身、色々な人たちがそれぞれの熱い想いを語るのも盛り上がります。

 この映画を見たあととか、中上健次千年の愉楽」を読んだあととか、人間って愚行の果てに死にたいっていう願望が本質的に強いのかなと思う。教科書も親も上司も、真逆の善行を積めとしか言わないから、抑圧された破壊願望がこういう映画で炸裂する。

1つ1つの場面に、コクというか旨味というか、気持ちよさがある。何度も見返して、味わいたくなる映画だ・・・・。

スカーフェイス (字幕版)

スカーフェイス (字幕版)