映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピーター・イェーツ監督「ジョンとメリー」2199本目

Maryを「メアリー」でも「マリー」でもなく「メリー」と書いてたのは、メリー喜多川の頃くらいまでだろう。この映画も1969年という大昔の作品です。流行が繰り返すからか、ジョンとメリーを見ているかぎり、それほど古い感じはしないけど、同じ家に住む黒人カメラマンの髪型が昔ながらのアフロだったりするあたりが、パーマネント技術が古い時代だとわかるし、学生運動の激しさも70年台以前です。そんな時代背景はさておき。

ダスティン・ホフマンが出演する映画も、ミア・ファローの映画もたくさん見たけど、この二人を組み合わせるのは不思議です。ミア・ファローはアート系の映画に出る不思議ちゃんで、ダスティン・ホフマンは常識的な学生とかビジネスマンのイメージだから。

で、この二人の「出会ったその夜に泊まってしまってから」のことを、それぞれの心の中の気持ちを語らせながら進めていくのですが、「男と女」(1966年)をとうぜん思い出します。ニューヨーク版「男と女」を作ろうとしたのかな。一人語りが多すぎて、コントみたいに笑ってしまうところもあるけど、どんな男と女にもある、相手を知りたい、自分をわかってほしい、男って・・・、女って・・・、という心の中の葛藤とやりとりと、しつこくなく大人に描いていて面白い。ミア・ファローは少女っぽい不思議ちゃんなのに、どこか男よりも冷静。あくまでも男目線で描いてる映画だからなのかな。

男と女について思うときに、これから思い出してしまいそうな映画でした。

ジョンとメリー [DVD]