映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

吉田喜重 監督「嵐を呼ぶ十八人」2178本目

1963年の映画。

白黒の画面はちょっと暗く感じるし、工場労働者たちの姿を見ると重たい社会派ドラマかと思うけど、この映画はむしろ当時の普通の若者たちの映画です。しばらく見てると、意外と新しい映画のように見えてきます。 

この時代の工場労働者たちの町というと、今もそのままの姿で無人島になってしまった軍艦島を連想してしまう。ちょうど同じ頃、それぞれの職場で地方から出てきた若い人たちは、油や煤で顔を汚しながら、元気にがんばってたんだろうな。

事件や事故は誰でも最初はショックだ。特に当事者は。だけど生き延びるために先に進む。この映画を見る若い人にはショックを受ける人もいるかもしれないけど(いや、最近はマンガでも映画でも極端なバイオレンスが多いからよっぽど慣れてるかな)、自分を投影したところで、中年以降の人には懐かしいくらいの気持ちだろうと思う。そう言う意味で青春映画。

香山美子、あまりに若くてわからなかったけど、まだ少女っぽくて可愛い。主役の早川保って、若くて熱くてなかなか魅力的。その後も人間味のあるいい演技をしてたんじゃないかと思います。

殿山泰司、最後に出てきてインパクトのあるお母さんっぷりを見せる浪花千栄子、といった有名どころ以外の「十八人」は一般人のオーディションで選んだとか。だからなんとなく自然な感じがあるのかな。時代は巡り巡って、今また一般人を活用した映画が一つの流れになってるのも、また興味深いです。

あの頃映画 「嵐を呼ぶ十八人」 [DVD]

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