映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランソワ・オゾン監督「まぼろし」2166本目

これはシャーロット・ランプリングを見つめつづけるための映画だな。

55歳になった彼女は、自分に似合う髪型やメイクや服装を知っている。涼やかでおしゃれで美しく、大人として振る舞える。大人になった彼女の愛情は成熟している。夫の突然の喪失は、大きく取り乱すことはないけれど、体の中に沈み込んでいく。

そういう、彼女の姿や心の動きぜんぶが、惹きつけるんですよ。人間の美しさは若さではない。オゾン監督が男性愛者であって、女性の若い肉体の魅力に縛られないことも、背景にあるのかな。彼女が少女の頃と同じように20年後も美しくあるだろうことを、監督はわかってる。

シャーロット・ランプリングは美しい、といっても、彼女だけが美しいってことでもないし、歳をとると男は弱くて女は強いとかじゃないと思う。いくつになっても人には思いがけないことが起こり、その中で戸惑う。美しさって何?と聞かれても明確に答えるのは難しいけど、この映画のシャーロット・ランプリングは、「ずっと見ていたい」、つまり映画にする意義をたっぷり持っている、と思いました。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様> [DVD]

まぼろし<初回限定パッケージ仕様> [DVD]