映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

増村保造 監督「盲獣」2164本目

面白かったー。

船越英二ってこういうキャラだったっけ??いいお父さんだと思っていたら、こんな過去が・・・。緑魔子は怖い怪しいお姉さんだと思ってたけど、この映画の中では(十分怪しいのは置いといて)うら若いスリムで可愛い女の子だ。

前半は、ヌードモデルと盲目のストーカー、彼が作った巨大な女性の体のオブジェ、といったおどろおどろしさを楽しんで見ていられたので、ちっとも怖くなった。でも自傷癖、じゃなくて相互傷癖が始まってからはちょっとついていけなくなりました。新鮮な恐怖、ゾッとする愛欲の深み。でも当人たちは恐怖じゃないんだよね。

村田喜代子の短編に、農家の若い男が、刺激を求める妻の足の小指を切り落としてみる、という話がある。彼らはそれを、用意してあった氷水に浸してすぐに救急車を呼ぶ。足の指は”処置がよかったので”、確かちゃんと繋がる。それが山奥の若夫婦だという設定がすごく新鮮で好きなんだけど、誰しも気持ちや行為がエスカレートしてしていくのを止められないことってあるんだと思う。

この映画は3人の役者の気持ちの入り方が素晴らしくて、フィクションに感じられないくらいでした。とても大映的、とても増村保造的な世界にどっぷり浸れる作品です。

盲獣 [DVD]

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