映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

レオ・マッケリー監督「めぐり逢い」2154本目

ケーリー・グラントとデボラ・カー。美男美女だけどお人形みたいじゃなくて随分、人間くさい二人です。といっても年齢差大きそうですね。1957年のケアリー・グラントは53歳、デボラ・カー36歳、その差は17歳。

デボラ・カーの服は、遠目では彼女を美しく見せてるけど、近くで見ると、せっかくの鮮やかなオレンジと白が変な形に組み合わさってたり、生成りのジャージードレスの首元に大きくてかっこわるいボタンがどかどか付いていたり。誰だろうこの衣装担当・・・クレジットなしか。

出会ってしまったふたりは、船を降りてそれぞれの前の恋人と別れることを決意します。彼女の表情は一貫してしっかりとしていて、苦悩のヒロインという感じが全然ないのがすごい。がっつり自己肯定ができている人の表情と行動です。その後、そんな彼女でも意気消沈してしまうことが起こるのですが・・・。

エンディング近くまで気丈すぎるくらい気丈な彼女が、全てを悟った彼の前で初めて流す涙・・・。もらい泣きしちゃうじゃないですか・・・!実際のところこれほど強いキャラクターってのは、憧れるけどちょっと想像しにくいけど、その強さが最後に崩れる瞬間が、この映画の最高のクライマックスだったんですね。素敵な二人、素敵な映画でした。