映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン=ピエール・ダルデンヌ 監督「ある子供」2147本目

2005年のベルギー・フランス映画。今から14年前。

自分の赤ちゃんが「売られる」というのは、親にとって何より許しがたいこと、と想像します。幼くても母親のほうは卒倒するほどのショックを受けるけど、 父親にはその重みがまだちっともピンとこない。そして、目の前にあるそれ以外の「金になりそうなもの」と同じように軽く売り飛ばしてしまう。でも映画では貧困が悪いとか無学が悪いとか、幼さが悪いとか、善悪の価値観を見る人に押し付けることは一切しません。

ニュートラルだからリアルなんだろうな。こういうカップルが世界中のどこにでも大勢いるんだと思う。彼らを変えるのは自分の内側から沸き起こってくる感情しかない。

まだ物心ついてない父親を演じたのは、午後8時のイケメンな父親、二重らせんのイケメンな恋人、とその後成長したジェレミー・レニエ。まだ初々しい母親を演じたのは、その後キュートなタイピストになるデボラ・フランソワ。あえてのキャスティングだと思うけど、彼らの健康的な若さと美しさが、これからの彼らの人生に希望を持たせてくれます。

特別なことじゃない。同じシチュエーションで、子供が生まれてこないこともある。遠い国で起こったことかもしれないけど、多分私たちのすぐ側で、駅前ですれ違った子達も同じような経験をしてるのかもしれない。映画で自分の目がどこか一点に釘付けになって、身近な人たちの問題を見逃したりしたくないなと思います。

ある子供 [DVD]

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