映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウィリアム・ワイラー 監督「黄昏」2137本目

不倫のお話だったのね。田舎からシカゴに出てきたばかりの純情なキャリー(ジェニファー・ジョーンズ)は、工場の作業に馴染めずすぐに首に。列車の中で知り合った男にうまく愛人にされた彼女を見かねて、高級レストランのオーナー、ジョージ(ローレンス・オリヴィエ)が声をかけるが、彼女には妻子持ちだと言えずにいた・・・。

・・・ってこんな素敵なロマンス・グレーに妻子がいないわけないじゃないですか!どれほど物を知らないお嬢ちゃんなんですか。でも、キャリーはうぶなだけで、その後グイグイ追い返して生きるすべを身につけていきます。その一方で、実は純粋すぎて生きづらかったのはジョージのほうだったのでした。

「ロリータ」にしろ「嘆きの天使」にしろ、昔の方が、中年男性が若いファム・ファタールのせいで身を持ちくずす映画が多かったんじゃないか?今は世間的には「かわいそうなのは女のほう」ということになってるけど、家族を持ちながら若い女を泣かせてるおじさんも大勢いそう。昔と今のこの違いってなんなんでしょうね。昔は男が強いのが当然だから、そんな男を堕落させる女の方が悪いと言われた。今は力に任せて弱いものを蹂躙するのは悪い奴だ、と糾弾されるようになった、っていう違いですかね。それはそれとしても、中年男性って今いちばん気の毒な人たちなのかもしれない。この映画を見てると、そんな気もしてきます。

愛や夢のために堕落する男って、逆に美しい・・・。

黄昏 (字幕版)

黄昏 (字幕版)