映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

チャン・ジュナン 監督「1987、ある闘いの真実」2136本目

こういう感動って、今の日本にはないよな。ない方がいいのはもちろんなんだけど。拷問があると知ったとして、まず私たちにないのは、怒るパワーかもしれない。卑近な例だけど、色々うまくいかなかった頃、何を言われても怖いだけで怒りを感じなくなってた時期があった。身体のあちこちが痛むまで、凝ってることに気づかない。感情を抑えて抑えて、がまんばかりしていると、感覚がおかしくなる。痛みも怒りも感じなくなる。今の日本には、慟哭すべきことが本当はたくさんあるんじゃないか?(と、自分に言ってみる)

そんな場所から見るから、1987年の韓国の彼らは眩しい。生きてる!って感じがする。怒るべきところで怒る。上司の理不尽な指示を突っぱねて、怪しいことはちゃんと調べる奴が、たまにはいる。ちゃんと怒って戦う人がいる。「本物の感情を出せ」「1987年の勇気を受け継いで欲しい」と監督は語っています。

独裁って、どの国のどの政権でも起こりうることだけど、拷問までしなくても忖度してみんながいうことをきく世界なら、問題が目に見えることは少ないと思う。日本って知らず知らずのうちに、実はかなり弱体化してたりしないかな。いろんなことを考えてしまう作品でした。力作です。

1987、ある闘いの真実 (字幕版)