2001年の韓国映画。
坊主頭のヤクザを演じるチョ・ジェヒョンの風貌はわりと「濃い系」。韓国ってふわっと長身な人が多い印象があるけど、彼はもう少し南の人に見える。香港とか?
相手の清楚な女の子はソ・ウォン。怒った顔がキュートです。いつの時代か知らないけど、普通の女子大生が財布を盗んだだけで”風呂に沈められる”もんなのか。彼女に親はいないのか?この辺はフィクションってことなのかな。
好きになった子を陥れたくなるっていうのはどういう気持ちなんだろう。古今東西、純愛といえば自己犠牲と相手への奉仕、彼女がバージンならそれを守り続ける、または思いあまって自分が奪おうとする、というパターンしか見たことがないので、この映画のようにその子を”風呂に沈めてずっと見続ける”という倒錯はまるで「人間椅子」のように時代がかって見えます。
チョ・ジェヒョンはヤクザチームに所属してるようだけど、常に自分と手下二人だけでつるんでいて、ただのチンピラといった風情です。この雰囲気がなんとも、懐かしいようなわびしいような。
出所できたのに面と向かって会おうともせず、またマジックミラーの裏に潜む・・・やっぱり人間椅子だ。。。
そして砂浜で、彼女が拾った写真の残りのピースは。あのとき海へ向かったのは誰だったの?・・・ときて、これはある種のファンタジーだったんだと気づきます。そう考えると、いちばん似てる映画は「あの夏、いちばん静かな海」なんじゃないかという気がしてくる。あと、自分の部屋で男たちを待ち、マジックミラー越しで見られるところに、昔の男が現れるというシチュエーションやフューシャピンクのドレスは、「パリ、テキサス」だよね。褒めていいのかなんとも難しいけど、独特の味わいがあって面白い映画でした。