戦前の画家のキッチュなコラージュ作品みたい。昭和の大監督の耽美的な作品群も思い起こさせる。だいいちDVDジャケットがなんて美しいんでしょう。役者さんたちの動きも言葉もすべて様式的で、何もリアルじゃない、お人形みたいな美しさ。
どうして、大監督がうんと高齢になると、こんな風にセリフを棒読みさせるんだろう?新藤兼人は80歳のときはまだ「濹東綺譚」なんて艶っぽい映画を作ってたけど、彼はその後100歳まで映画を作り続けて、最後の作品「一枚のハガキ」は感情を込めたら怒られるみたいにみんな棒読みだった。大げさなお芝居が好きじゃなくなるってことなのかしら。
この映画は、どこか残酷な気配が最初から漂うなか、美しき少年少女たちがそれぞれの美をもって交わり、リアリティを持たないまま美しく散っていきます。
監督の他の作品、もっと日常的な場面を描いたものと、全然違う印象だったけど、少年少女の純粋さが失われて行くことの痛み、みたいな通奏テーマがあるのかな。
公開後なかなかソフト化されず、再映もほとんどなかったけど、やっとDVDで見られてよかったです。