映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

今井正監督「武士道残酷物語」2111本目

なんて激しいタイトル。でも思っていたのと全然違う内容でした。

確かに、侍が農民を切り捨てるようなタイトル通りの武士の残酷さも描かれますが、不倫に対する罰だったり、会社組織の厳しさだったり、「武士」より後にも続いてきた序列とか組織とかの残酷さを、飯倉家の子孫を追って描いていきます。

同じ人間が様々な場面で別の人物を演じるというのは、クラウド・アトラスだ・・・。あるいはイントレランスか・・・。面白いなぁ、この映画。最初はまさかクラウドアトラスだと思わなかったので、筋が追えなかったんだけど、見返してみるとなんとも斬新です。まだチョンマゲや和服姿がちゃんとできる人が多くいた時代だと思うので、姿が自然なぶん昔っぽい映像なんだけど、やっていることは挑戦的。

中村錦之助が初々しくて純な感じが新鮮ですね。貫禄たっぷりのおじさんになってからしか知らなかったから・・・。

監督が「左翼映画人の筆頭」と紹介されているのを見て、なるほどこれは組織に対する反骨の映画なんだなと納得しました。村上春樹が「踏み潰される卵の側に常にいたい」みたいなことを言ってたのと同じで、どの時代のどの社会においても、自分は忠義を尽くして裏切られる側にたつ、という。

興味深い作品でした。見てよかった。 

武士道残酷物語

武士道残酷物語