映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

冨永昌敬 監督「パンドラの匣」2107本目

太宰治作品が最近(といっても10年前あたりだけど)映画化されている。人間失格も、ヴィヨンの妻も、斜陽も。歴史は繰り返す。

染谷将太が、比較的アクの少ない「ひばり」と呼ばれる役どころの分、川上未映子の怪演が目立ちます。この人やっぱりなんか変わってる。というかこの療養所がすごく変だ。ニックネームの名札が縫い付けられた服。「やってるかー」のような妙な掛け声の決まりごとや、決まりごとのように繰り返す口ぐせ「いやらしい」など。サナトリウムという言葉の響きに甘い憧れを少し感じてしまうんだけど、その道の場所ではこんな遊びが行われていたのか。

マァ坊と呼ばれる仲里依紗は可愛らしい。(「布団部屋で待ってる」)しかし、竹子と呼ばれる川上未映子の腹の据わった、すこし謎めいた魅力は、「ひばり」のような知的に貪欲な男を引き込んで離さない。

すごく不思議なサナトリウム(という言葉は使われないけど)の設定だけで最後まで興味深く見られました。映像美の魅力。音楽もとても良いです。大人のメルヘンのような映画だけど、終戦の前後にほんとうにこんな場所が日本のどこかにあったなんて、なんとも言えない不思議な気分ですね・・・。 

パンドラの匣 [DVD]

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