映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ブルノ・ユラン 監督「ファイアbyルブタン」2104本目

アート映画というジャンルになるらしい。冒頭に現れるのは、ルブタンのブーツを履いた半裸の美しい衛兵たち。 優雅な行進をしていても、正直、華麗なる靴より、ぷるぷると揺れるおっぱいの方が気になります。。。次は前髪ぱっつんの黒髪の美女によるストリップ。これって、エロティッククリップ集?アートではあるけど若い女性の身体の優美さ、誘い込むエロティシズムを、裸でも尖った靴を履いてリボンを巻いている姿で表現したものなのかな。

この美しいものたちの、ひとりひとりの個性の無さ。とても高い水準の美しさではあるけど、簡単に他の美人と代替できそうで、そう思うとエヴァンゲリオン綾波みたいで落ち着かない。彼女たちはみんな似ている、とルブタン自身もこの映画のなかで語っています。でも舞台を降りるとみんな個性的なんですって。実際、ひとりひとりの場面で自分を語るそれぞれの彼女は、フランクだったり完全主義っぽかったり、全く街角のインタビューみたいにバラバラです。人間って見た目がよく似ていても中身って違うのね、などと改めて。

合間合間にはさみ込まれるルブタンの映像は穏やかそうな雰囲気で、彼はムーラン・ルージュロートレックなのかな。クレイジー・ホースで踊るバレリーナたちを、一番輝かせるハイ・ヒールのトウシューズ。音楽はデイヴィッド・リンチとされているけど、リンチが普段作るアンビエントな音楽とは全く違う。元々のショウにそれぞれのオリジナル楽曲があって、彼は全体の音楽監督を務めたってことかな?

クレイジー・ホースのショウはいつもこういう風なのか。それともルブタンの靴が加わる前は違ってたのか?いろいろググってみたら、基本は普段のショウと同じみたいです。ルブタンが靴を提供し、演出して上演された「FEU(Fireって意味なんでしょうね)」というショウを、店外のスタジオで改めて映像化したものらしいです。

ティナ・ターナーの脚が理想だと言う。へー、なるほど。彼女はコリコリに細い筋肉脚に15センチはあるピンヒールを履いて、舞台じゅうを動き回って歌う人だ。何十年も彼女の写真や映像も見ていなくてもすぐに思い出せるくらい、あの脚は印象に残ってる。だから「なるほど」。彼女ほど使い込んだ脚をしたダンサーはひとりもなかった。そう聞いてしまうと、彼女たちの完璧だと思っていた身体が、鍛えきれていないもののように急に見える。クレイジー・ホースの出演者がよく似た彼女たちである理由は、パリの観客が求めるのがこのルックスだからだ。

クレイジー・ホースを見てみたいとは不思議と思わなかったけど、ルブタンの赤い靴底をチラチラ覗かせてステップを踏むティナ・ターナーは見てみたいなと思った。

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