映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョー・ライト監督「つぐない」2092本目

イギリスのドラマの強さだな・・・。<ネタバレあり。絶対に見る前に読んじゃダメ>

シアーシャ・ローナンの、少女のころの感受性の強さに比べると、キーラ・ナイトレイジェームズ・マカヴォイもわりと普通だなと感じながら 見ていたのに、最後の最後に泣かされてしまった。”普通”の彼らは本当はいなかった。妹の想像だから平板だったんだ。加害者の責めを負って生きてきた人の書いた虚像だから、”嘘”を言った彼女をあんなにストレートに責めることができたんだ。とわかった。

13歳の多感だけどまだ何も知らない女の子が、思い込みで結果的についてしまった嘘。大人の彼らが、真実に気づいてしまった彼女の背負ってきた長年の贖罪の気持ちをわからないはずもない。妹を小説の中でストレートに責めているのは、彼女自身だ。彼女はそれを表情一つ変えずに耐えて聞いている。憧れていた人と姉が愛し合って暮らしているアパートを一人で出て行く。本当は再会などできなかったのに。老人になるまで生きてきた彼女の傍で、つめたい土の中に別々に横たわってるのに。

最初に戻るけど、本当にイギリスのドラマは大昔から、人間を描くのに本当に長けています。この映画は、出演者だけを見ると「有名どころ」ばかりなので、スターがキラキラ輝くハリウッド映画みたいに思ってしまったけど、あまりにも全てにおいて演技が優れていました。抑えるところを抑える演技って、なかなかできないものです。

全く期待しないで見たら、ちょっとショックなくらい感動してしまいました。二人の最後を、語りだけでなく静かにちゃんと映像化したのもよかった。大感動巨編みたいに大げさにしなかったのは、もっとよかった。戦争が全部悪いんだ、みたいな安易な流れにしなかったのも。だからやっぱりイギリスのドラマが好きなんだよなぁ。

つぐない (字幕版)

つぐない (字幕版)