映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロレーヌ・レヴィ 監督「もうひとりの息子」2075本目

そうか、「そして父になる」と近い時期に公開されたんだな。他の人たちの感想を見ると、比較してる人が多い。でも舞台を変えると隔たりが極端に大きくなる。

葛藤にドラマを感じる私たちのために、監督は残酷な舞台を用意した。イスラエル人とパレスチナ人って、お隣だし宗教以外は似てるのに・・・と以前は思ってたけど、彼らの姿を見てると、何千年もの間にはぐくまれた民族の特徴というものがそれぞれにあるんだ。宗教が違うというのは、文化が、出自が、いろいろなことが違うということ。

イスラエルで育ったほうの少年が海で不良に刺されるという事件。監督は、彼がそこで命を落とす結末にするほど過酷じゃなかった。妹たちは最初からフレンドリーだし(昨日見た「タイタンズを忘れない」のアメリカ白人vs黒人よりよっぽど)、父親どうしもやがて和解するし、この映画はわかりあう暖かい未来を想像する人たちの映画なのでした。よかった。でも、もっと苦痛に満ちた映画を作ることもできた。取り違えが判明したとき、片方の息子の家では、母の不貞を父が疑って誰かが亡くなっていた・・・とか。タル・ベーラにはこのテーマに挑戦しないで欲しいなぁ・・・