映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

相原裕美 監督「SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬」2073本目

なんと、マーク・ボランが自動車事故で亡くなった場所を布袋と鋤田が訪ねるところから始まります。マークがギターで軽く感電して髪が逆立ったあの写真が、彼のスタート地点。

鋤田氏って朴訥なたたずまいで、誠実な話し方をする人ですね。パンクスみたいな人でもビッグマウスでもなかった。こんなに迫ってくる、というか、襲ってくるような写真を撮る人なのに。

彼が撮った「HEROES」のジャケットをアレンジして「THE NEXT DAY」のジャケットを作ったグラフィックデザイナーと、鋤田が対談してる!

いやー、いギー・ポップすごい翁になってる!PANTAがふっくらした丸い爺様になってる!など、変な追憶が続く。是枝監督の「ワンダフル・ライフ」は井浦新伊勢谷友介出世作というだけじゃなくて鋤田がスチルを撮ってたなんて。とか。

見ていくうちにわかってきた。自分はミーハーだという鋤田は、被写体に憧れてるんだ。だからリスペクトする。被写体の美しさをすぐに見抜いて、一番その人の美しいところをフィルムに残して撮っておきたい。彼は「永遠の追っかけ」だ。その彼の腰の低さや、自分に向ける愛情を被写体たちは逆にリスペクトする。両思いだ。

このドキュメンタリーを見た人はきっとみんな、彼らの愛を感じて胸を熱くするんだろうな。誰にでも一生のうち一番輝く瞬間がある。そこに向ける愛だよ、愛。 

SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬

SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬