映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

鈴木浩介 監督「ケアニン あなたでよかった」2072本目

いい映画だったなー。

別にやりたいこともないので、専門学校を出て介護職についてみた青年。日本中のどこにでもいます。ずっと元気だと思っていたのに、気づいたら認知症が進んでいたおばあちゃん。これも日本中のどこにもいます。彼らが介護施設で生活を共にしていくうちに、青年は悩み、挫折感も味わいつつ、まっすぐぶつかっていくことで次のステップに進める。おばあちゃんは優しさに包まれて旅立っていく。よくある話。こんな静かな感動が世界中のどこででも起こってる。他の誰にも気づかれないけど、ちゃんと生きてる人たちがそこにもここにもいる。多分、何よりも大切なことが、ちゃんと行われてる。

映画の作りがとても素直で、特別なことは何も起こらない。大泣きする人もいないし山場も地味だけど、その分現実に近い。でも、普段介護ってことに全く縁がない人たちが見て、「ふ〜んこんな感じなんだ〜」って思ってくれたらいいんじゃないかな。それだけで、頑張ってる人たちが励まされる。

機会があれば、どんな人にも見て欲しいなと思う映画です。