映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スティーヴン・スピルバーグ 監督「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」2052本目

これが例えば大地震に関する朝日と読売の報道合戦なら、いきなり見てもわかるんだけど、ベトナム戦争のスクープをワシントンポストニューヨークタイムズがやろうとしているなら、ちゃんとその時の戦況や二者の関係性を予習しておいてから見る、あるいは二回見るほうが映画をよく理解できると思う。(ネット高速検索中)

メリル・ストリープトム・ハンクスという二大巨頭の競演の意味を考えてみたんだけど、もしかしたら、これだけ大物の登場人物の多い映画の中で、「誰が主役か」つまり誰を中心に見ればいいのか?というガイドになってるのは確かだと思う。スピルバーグは映画として取り上げるのはタブーだと思われるテーマをたくさん映画化してきた監督だけど、必ず「どの立場の人が見てもわかる」易しさを映画に持たせる監督だ。この映画は、原題が「The Post(ワシントンポストの愛称)」だし、この二人を中心に見ていけばいいという親切なヒントだと思えばいいかな。

言い換えると、スピルバーグって今のアメリカで世論に最も大きい影響を持つ政治家って言ってもいいんじゃないか?ポピュリズムが蔓延している現状に早鐘を鳴らすために、急いでこれを公開しようとしたのかな。

スター・ウォーズジョン・ウィリアムズの音楽で、偉大なる「勧善懲悪」感が醸し出される。アメリカでは正義が、民主主義が、家族を負け戦に行かせたくない家族が団結すれば勝つ!という強大なメッセージ。

この映画が、当時のニクソン大統領がまさに当事者だったウォーターゲート事件の発端で終わるのは、時系列的に正しいから、だけでなく、ほっとくとこうなるよという示唆を与えようとしてるからかな。(この後まだ3年くらいベトナム戦争が続くのが残念。)

こういう映画を見ると、多少は誇張があるとしても、報道業界に忖度を上回る正義感とか民主主義ってものが存在するのが羨ましいし、カッコいいなぁと思える。ただ、多分日本にはもともと、君主に対する忠義が大衆の中の正義に勝るっていう価値観が根強くあるから、そもそも国としての組成が違う気がしてます。合理主義に伴う、個人を切り捨てるつめたさには耐えられないのかも。

この映画は多分、高速ネット検索しながら3回は見ないと理解できないな・・・。