二回見てやっと、木でできたイエスキリストの十字架のあの場所の意味がわかった。年長の軍曹の最初の大戦と、24年後の二度目の大戦。その間に何かあったとか、何かを学んだとか、そういう説教っぽいことはこの映画には何もありません。現場の人間は淡々と、誰から指示が降りてきてるかも意識せずに、ただ、ためらわずに人を撃つ。人を指す。そういう意味でたぶんこの映画は割とリアルな前線の映画なんでしょうね。
あんなに撃たれても当たらないで生還する人がいる、というのがすごい。どうして生き残れるんだろう。
この映画では、敵以外に、死ななくていい人たちも死ぬ。停戦を伝えにきた敵を撃つ。生意気を言う部下を撃つ。精神病院では無差別殺人に目覚めた患者があたりかまわず撃つ。軍曹が背負った少年は背中で死ぬ。
でも軍曹を始めとする「The Big Red One」の何人かは生き延びる。帰ってきてアメリカのどこかで彼らは、自分には常に神風が吹く、というような勘違いをせずにいられるもんだろうか。敵とみなす人に出会ったときに撃たずにいられるんだろうか?
不思議な味わいのある戦争映画だったなぁ。