あれ、イタリア映画かと思ったらイタリア語の口パクだ。
主役がバート・ランカスターなので、英語で話してたのかな。
しかし何という耽美の世界。強烈な色彩とか完璧な造形とか、美しさの質がイタリアらしいです。血の匂いがするような。黒が効いています。黒髪で強い瞳をした美男美女。
貴族たちの”グランピング”は名画そのものですね。
バート・ランカスターは徹頭徹尾ネガティブです。ポーズじゃなく割と本気。
革命で撃たれる予感もないのに、自分たちが滅びかけていることを敏感に察知して、始終それを嘆き続けています。豪奢の限りをつくした後の退屈って、なかなか共感はできないけど、全てを手に入れてあとは落ちるだけの人々ってこんな感じなのかな。
フェリーニの映画のなかのマルチェロ・マストロヤンニも、美しく退廃的な美女と美酒と美食にまみてて、よくこのように嘆息します。どっちも私から見ると”女たちや部下や周囲の人たちに迷惑をかけて好きなことやりまくって、今更何を”という反感の対象でしかないのですが、不思議とヴィスコンティのバート・ランカスターには反感だけがない。私からは彼が「往年のスター」っていうちょっと哀しい存在に見えるからかな。それに、ヴィスコンティの感覚の方には”もののあはれ””諸行無常”のような達観した感じをみて共感できるからかもしれない。こういう細かい感覚って、かなり属人的なものだと思うけど。
有名な舞踏会の場面は、予想したほど長くは感じませんでした。踊ってるだけじゃなくて会話も多いし、絢爛豪華な衣装や調度品も見飽きません。この映画の制作費って一体いくらくらいかかったんだろう・・・。
とにかく、歴史に残る名画であることは間違いありません。
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