映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督「パラダイン夫人の恋」1838本目

「かくも長き不在」を見て、アリダ・ヴァリの若い頃の映画をもっと見てみたいと思った。
そういえばヒッチコックの中で、この作品はまだ見てなかったし。
冒頭から画面いっぱいのアップで登場するヒロインがアリダ・ヴァリ。スクリーンに負けない堂々とした美しさに目を奪われます。当時26歳。若さは年齢相応だけど、この落ち着き!
そして敏腕弁護士を演じるグレゴリー・ペック。今ならジョージ・クルーニーかなぁという美貌ですね。
夫人の愛人?と疑われる召使いを演じてるルイ・ジュールダンというフランス出身の俳優も、ちょっと野生的でとてもチャーミングですね。

内容のことをいうと、「ヒッチコックっぽくない」ところがある映画ですね、特に法廷での事件、どんでん返し、結末にかけて。急に人間ドラマになってしまう。「失われた週末」になってしまっている。
ヒッチコックは人情の機微をオチに使ったりしないで、殺意のスパイスのように扱ってくれなきゃ。一時の気の迷いは、許したりしないで谷底に突き落としてくれなきゃ。
奥さんが立派すぎるあたり、本当に「失われた週末」なんですよ。ヒッチコックなのにビリー・ワイルダー的ですよ。

見終わってしばらくたっても、どうしてもヒッチコックの映画を見たという気になれません。
それにしてもパラダイン夫人は美しく気高かったです。