1999年の映画、是枝監督の「幻の光」に続く2作目のコマーシャル作品。
この映画の設定が、是枝監督のこの時期の「ドキュメンタリー観」を表してるんだろうな、と思うと面白い。
自分の人生で最高だった時を、感動をもって語れる人だけが、ドキュメンタリーにおいて「語られる側」になれる。それが語れない人たちは、諦めたように制作側に回る。
もうそういう、ドキュメンタリーに興味のない人にとっては、何から何までどうでもいいような世界に、どっぷりと自分の周囲10メートルくらいの世界に浸りきってる感じが、青臭くて。
現実には死者が自分でハイライトシーンを選んで「ここ撮ってよ」って監督にいう機会はない。是枝監督は、その声を聞いてみたくなったのかな。監督が選んだ場面は本当に適切なのか。そして撮る側の空っぽさ。
撮られる側が撮る側に回ることは、現実にもよくある。俳優が自分で監督をやってみるとか。
逆ってなかなかないよね。年老いた大監督のドキュメンタリーくらいかなぁ。
つまり監督は、「撮られるべき人」っていうのは語るべき場面を持った人だと考えてるんだ。
そして誰にも語るべき場面がある、(例外はいるけど)と考えてる。
若くてイケメン、色っぽくて可愛い、っていう俳優たちの初々しい魅力を撮るような、ポートレイト写真家みたいな監督とは見てるところが違う。
出演者をみると、今や是枝作品に限らず映画俳優として相当の存在感をもつ井浦新が、この映画のオーディションでデビューしたという。びっくりするくらい初々しくて少年みたいです。今でも少年ぽいと思ってたけど、比較にならないくらいコドモ!
彼もいいけど小田エリカ、可愛いですね。いいです。
伊勢谷友介もこれが映画初出演か。このふてぶてしさ!すっかり彼もいい大人になったよね・・・。
新人発掘の才能がすごいなぁと、今更ながら思いました。
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