映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

インドゥジヒ・ポラーク 監督「イカリエ XB1」1809本目

1963年、50年以上前の大昔の映画です。
日本では円谷プロの「ウルトラQ」が1966年。アメリカでは「スタートレック」が1966年開始、「2001年宇宙の旅」が驚愕の1968年だけど、どの作品よりも早いチェコ映画。そして原作は(かなり二次創作されているとはいえ)「惑星ソラリス」のスタニスワフ・レム。衣装は「ひなぎく」のエステル・クルンバホヴァー。見なければ死ぬ!と思って映画館へ行ってきたわけです。

宇宙船が宇宙を飛んで行く場面は、手ブレがないとはいえ、ウルトラマンの最初の頃くらいな初々しいプラモデルなんだけど、それ以外の美術はなかなかのセンスです。音楽はまだピコピコしてるシンセサイザーなんだけど、シンセって意外と歴史が古いのね。1930年代に作られて、1960年代の機器は第三世代くらいのようです。この映画も、ほぼ全編が当時は斬新だったであろうシンセ音で彩られていて、なかなかイケてます。衣装は宇宙だからといってロボットみたいな硬そうな衣服ではなく、素敵なリラックスウェア。宇宙船内でのフォーマルなパーティは振り付けもオシャレです。

そして役者さんたちが、誰も彼もじつにいい顔をしてます。ハリウッドものではなく、「ソラリス」の仲間の映画として、シリアスな乗組員のちょっと哲学的なドラマを繰り広げます。乗組員にしては年配の人が多いイメージだけど、重厚さが出ていい感じ。

ストーリーはね・・・えーと・・・前半ちょっと、電波星雲に私もやられてしまって、謎の倦怠感と眠気が・・・
公式サイトによるとその頃、かつて地球から旅立った宇宙船の中から乗組員の亡骸が見つかったりしていたらしいのですが。(電波星雲に出会うのはその後だよ!)
謎の眠気とか、他の生命体の存在がほのめかされたりするあたり、やっぱりレムの哲学的宇宙観が見られるようでスリリングです。デジタル修復のおかげで画面は美しいし、古さを感じさせるのは宇宙船プラモデルくらい、というとても興味深い作品でした。「大傑作」とは違うかもしれないけど、ずっと忘れない魅力たっぷりなので、その手の映画が好きな人にはぜひ見て欲しいです。