映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イングマール・ベルイマン監督「蛇の卵」1798本目

1977年に制作された作品。
これはスウェーデンではなくドイツとアメリカで作られた作品らしい。
みんな英語をしゃべってるのが、不思議な感じ。
特にリヴ・ウルマンがなんかいつもと別の人みたいです。スウェーデンで作られる白黒作品では、彼女は無表情で受け身な役が多いから、英語を喋る陽気な踊り子っていう役が新鮮というより別人に思えます。

しかし徐々に、主役を演じるアメリカ人俳優デイヴィッド・キャラダインの演技は、なぜマックス・フォン・シドーを使わなかったのかと言いたくなるくらい、しかめっ面で”何を考えているかわからない”。ヨーロッパのアメリカ人ではないみたい。

他のベルイマン作品と比べて、しかし、違うのはそういった”しつらえ”だけで、中身のわかりやすくなさ(難解というより、何かを伝えようとしていない)や、特殊な状況のもとで人間たちがどう動くかに注目した映画づくりは、いつもと同じ気がします。

日本未公開作品なのであまり情報がないんだけど、事実も含まれるんだろうか。
主人公アベルはどこへいったのか。
この後ドイツで起こったことを考えると、これでも、まだ平和な時代だったんだよね。
「続く」というような終わり方に、気持ちがざわざわとしたままです。