映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デヴィッド・アットウッド 監督「チェ・ゲバラ&カストロ」1796本目

アメリカ映画なんだ。驚き。言語も英語です。
アメリカで、キューバ革命を割と忠実に描いた映画が作られてたのね。
キューバはラテン・アメリカの音楽や文学が好きで憧れてた私にとって、治安が良いから一人旅できる中南米の国です。だけどぼんやりと憧れてただけで、ちゃんと歴史を調べたこともなかった。この映画はキューバ近代史の勉強にとてもよかったです。先に読むべきだった・・・。

そしてこのタイトル。原題は「フィデル」、いわゆるカストロのファーストネームです。(弟がつい先日まで兄から引き継いで首相を勤めていたラウル・カストロ。)だけど日本ではイケメンのゲバラが人気なので、タイトルはやっぱりこうなるよなぁ。
という私も、ガエル君見たさにレンタルしましたが。

冒頭から登場しているのは若き日のカストロキューバの革命家って私たちが見る写真はいつも軍服だけど、この頃は羽振りのいいサラリーマンのような風体です。冬休みに私が見たハバナの街は、静かで庶民的で、いかにも豪華って感じだったのは観光客向けのショーとか、国営観光ホテルくらいだった。それでもどこか質素で、華美なものはどこにもないところだった。革命前はこんな風にお金の匂いのプンプンする国だったのね・・・。

常に情熱的で、冷静なリーダーのフィデルに比べて、チェは気に入らない市民をすぐ撃ち殺したりする気の短い若者と描かれています。そして、その後どんな風にフィデルたちと袂を分けたのかと思ってたら、彼は革命を、というか、ゲリラ戦を続けたかったんだな。それで勝てると信じることはちょっと狂信的だ。その信念や興奮が彼を輝かせてたのかな。だってやっぱり彼はスターだから。今もキューバのあちこちに彼の写真が掲げられてる。(日本人のツアーだからそういうところばかり行ったのかな?)

チェの死亡のあと映画は一気に数十年を駆け抜けて終わる。
革命の興奮は戦争の興奮と同じで、みんな自分がいい世界を作るために命を投げ打ってると思って高揚してる。チェは革命中毒だ。
なんかすごいなぁ。狂ってるようで美しいようで。

いやー、実に勉強になりました。
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