映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

チャールズ・チャップリン 監督「殺人狂時代」1784本目

1947年、戦後すぐの作品。
なんとなくふと、チャップリンの見てない作品を見てみようと思い立った。
チャップリンって芸達者すぎて、人を騙そうとすればいくらでも騙せちゃうんだろうな、とつい思ってしまっていたけど、彼のその部分を最大化して映画にしたのがこれです。

出会ってすぐに口説かれるなんてありえない・・・というのを、なるほど!と思わせるこの演技。
日本にも昔は森繁久弥みたいな名優がいたっけ。見てるとムナクソ悪くなるような名演技。

この手の犯罪映画では普通ない、自首に近い形の逮捕劇と、独白と死刑までの長さ。
愛するも人のために関係ない人を殺すほどの愛って何なんだろう?と思うし、戦争と大量殺人を同一視するのには無理がある気もするけど、役者として本当にすごい人だと改めて感動してしまいます。

ボヌール夫人のキャラの明るさと運の良さが、この映画の中の救いになってますね。