映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デイヴィッド・クローネンバーグ 監督「裸のランチ」1783本目

1992年のアメリカ映画。
ドラッグによる幻覚を描いたものでしょうか。原作を読んだはずなのに何も思い出せません。
こんなにゴキブリがいっぱい出てくるような作品、楽しく読めたはずもないのですが・・・。

読書記録を探してみたらこんな小説だったそうです:
「文章としてきちんとしているのは、序文とか補講くらいで、あとは効いてるあいだに見たり聞いたりした幻覚を綴ったものなんでしょうかね。カラフルなビジュアルというより、実在しそうな少年少女などが、普通ではやらないこと(カジュアルな殺人など)をする、という、「昨夜怖い夢みたよ」という感じの内容でした。」

まあまあリアルっぽいけど、まだ作り物っぽくてちょっと笑える感じのゴキブリやタイプライターやムカデ。
むしろ愛嬌があってキャッチーです。子供のいたずらが見つかったみたいに「エヘヘ!」とか言ってほしい感じ。

とはいえ、執拗なタイプライターの故障が、作家の彼の「書けない」辛さを表していたり、肛門にも見える”よく喋る口”はやっぱり同性愛の何かを表していたりするのかもしれない。人は快楽の薬を手に入れても、本当に解放されることはないのかもなぁ、と思うと切ないです。

オーネット・コールマンの印象的なサックスの音も、合ってるんじゃないかな?
こういう映画って説明も評価もしにくいし、好き嫌いの判断すら難しいけど、ひとつの作品として完成してる印象は受けました。ちょっと変わった種類の面白さのある映画です。