映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

新藤兼人監督「絞殺」1766本目

1979年の作品。
新藤兼人作品、見るの久しぶり。
この映画は、エリート高校に入った息子を父が絞殺するに到るまで、そしてその後のことを描いた作品です。
テーマはとても重いのに、近所のやけに朗らかな人たちの様子や、誰も引きこもらず外の空気を吸っている感じからか、重苦しさが不思議とありません。

初子は義父と自分の手でさよならし、愛しの勉くんと結ばれ、自分で自分とお別れした。
勉は不本意もいいところだけど初子のところへ行った。
母も愛する勉のところへ行った。
父は一人残ったけど、勉を葬った。

この重くない感じは、いいのか、悪いのか。
「裸の島」みたいに、静かな日常(エクストリームとはいえ)を描いた作品の方が圧倒的に重いです。
重くなくてもこの映画には道徳がある。倫理観がある。
道徳、倫理観・・・。
今一番、思い出すのに時間がかかる言葉だなぁ・・・。
なんとなく、しみじみ。