瀬々敬久監督「64」前篇・後篇1764-1765本目

この映画って評判がいいの?
なんか、出てくる人の8割くらいが反抗期のままみたいで、”日本のマスコミのダメさ”とか”警察の腐敗”みたいな、聞いたようなことをごく単純に叩きあって感情をぶつけあっている幼い映画という印象で、見ていて気持ちよくなかったです。

「ヘヴンズ・ストーリー」の方が、底辺の人々を追ってる分、しっとりとした情緒があった。この映画では一流の役者さんたちが大泣きしたりがなり立てたり、必要の感じられない濃い演出が続いていてもったいない。
テレビ的というのかな・・・こういう演出って。あれだけ気持ち良さそうに三上を吊るし上げてた記者たちが、三上が一度かっこよく振る舞ったら180度寝返って、今度はこぞって味方になるのか。

警察の人たちを新聞記者たちが罵倒するのもイジメと同じ。強いものは力の限り罵倒しても構わないって感覚を持ってる人たち、人を攻撃するのが大好きな人たちが、はけ口をどこに見出すか。イジメ返す人ばっかりなら問題にならないのかもしれないけど、イジメられっぱなしになる人たちは攻撃することを楽しめないから、逆転できないんだ。スリー・ビルボードで被害者が加害者を攻撃するのを気持ちよく見られる人たちは、被害者にも加害者性があって簡単にひっくり返ることに気づいてる。64を楽しめてしまうってことは、自分たちの加害者性に気づいてないってことなんじゃないだろうか?

こういう映画を貫くものは報復の喜び、つまり”ざまあみろ”の快感だと思う。
しつこくしつこく、粘って粘って、相手を追い詰める。人間って思い通りにはならないから、加害者をいじめ殺したところで改心するとは限らない。相手に自分と同じ恐怖と憎悪を抱かせて、それを見て快楽を感じたい・・・そういう気持ちでいっぱいになるより、自分を幸せにできる方法があると思うんだけどな・・・。