1979年、原作が書かれてから6年後の公開です。
最近中上健次の「千年の愉楽」を読んで強烈な印象を受けたので、早速レンタルしてみました。
荒っぽい映画ですねー。今から40年近く前とはいえ、なんとなく”戦後”っぽく感じます。
中上健次の故郷の「路地」ではないけど、狭い道の両側からせり出してくるようにランダムに連なる家々、店々。新聞代が払えなかったり、集金人に当たったりと、嫌な思いをした家にXをつけていく十九歳の少年。
・・・ムカムカする気持ち、わかる。そのムカムカをうまく抑えてコントロールできるようになる人もいれば、一生そのままの人もいる。この映画の中では、誰も解決も完成もみない。爆破するぞ!!と叫ぶことで蒸気を少し外に逃しただけ。こういう小説、映画が、その時代の若い人たちに、まるで世界初の発明みたいに書かれていくんだろうな。(陳腐だというんじゃなくて、彼ら自身は世界で初めて出会う経験だから、過去から学ぶこともないし実際に新しい)
本間雄二という若い俳優さんは、一見デリケートそうだけど妙に芯が太くて、腹から声を出してるわけでもないのに声が強い。演劇の世界ではこういうタイプというか演技ってあまり見ないなと思ってググったら、本物の暴走族の元リーダーなんですか。本物ってわざと睨んだり恫喝したりしないのかもな。演技をする必要がない人だったのかもしれない。
演技をする必要がないといえば、マリア役の沖山秀子。この人ほんと天衣無縫だなぁ。この人を見てると、自分や会社の同僚なんて嘘ばっかりついてる気がしてくる。別に人に美人だとか賢いとか思われるために頑張らなくてもいいんだよな・・・って。
学生の頃は私も友達も木造の小さいアパートに住んでたし、この映画の世界のことをまるで別の世界のように語れるわけじゃないのに、なんかもう遠く感じてしまう。私が変わったのかしら。日本も変わったのかなぁ。
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