映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリスチャン・ジャック監督「パルムの僧院」1731本目

ジェラール・フィリップ王子が主演の、見逃していた名作。
TSUTAYAで以前はVHSをレンタルしてたけど、店頭から消えてしまい、幻なのか?と思っていたら廉価版DVDが出てたので買いました。1000円くらいかなぁ。

相変わらずの、全女性にもてて全男性を敵に回しそうな王子様っぷり。ディズニー映画に出てくる「お城」はロシア正教会から来てると思うけど、王子様のイメージはこの人をしのぐ人はいません。美形でスリム、身のこなしうるわしく頭脳明晰。無邪気で向こう見ずで、見かけによらず決闘するとめっぽう強い。
線が細すぎるなぁとか、個人的な好みで文句は言えても、王子様としての完成度はパーフェクトを言わざるを得ません。ディズニーアニメを見てるようです。ついでに絵に描いた女王様のような叔母、ギャグマンガの将軍のような将軍等々、人々のキャラクターの強さが何より目に残る、白黒なのに大変ビジュアルな映画です。

牢獄から覗く彼と見つめ合っていただけで命をかけるほどの恋に落ちる・・・なんてことが信じられてしまう王子の凄さ。逆にいえば、こんなことあるわけないだろ!と思うほどロマンチックな小説を読んでも、主人公が王子だと想像すれば、「さもありなん」と思えてしまうのではないか。

二次元オンリーの人にこそ見てほしい映画と言えるかもしれません。