映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

トマス・グティエレス・アレア 監督「苺とチョコレート」1729本目

素朴な社会主義国のなかの、アーティスティックな”オカマ”、というかなり想像しにくい設定だけど、見てるとなんら不自然なことはなくて、どこの国のどこの街にも同性が好きな大人がいて、世の中のためを常に考えている純粋な学生もいる。すごく違う人どうしに接点はあるのか?

人間と人間のドラマという意味では、全く地域や時代を選ばない普遍的な作品だと思います。私としては、それにプラスして、最近見てきた素敵な風景を懐かしんで見ました。

ハバナ旅行で行った有名なアイスクリーム店(コッペリアと言います)で現地ガイドが「苺とチョコレートという映画のロケで使われた店です」って紹介してくれた。知らない映画だったけど、そういう引き合いに出されるような映画なら地元で人気なのかもしれないし、アメリカやヨーロッパでも流行ったのかもしれないので、見てみようと思った次第です。

冒頭から主人公の男性は結婚に失敗して、車のクラクションで「結婚行進曲」を調子っぱずれに鳴らすというオープニング画面が出てくるんだけど、現地で「クラシックカータクシー乗車体験」のときに、ドライバーたちがみんなこの曲を鳴らしてたのを思い出して愉快な気持ちになりました。

タイトルの苺とチョコレートは、アイスクリームのチョイス。男はチョコレートを注文する。苺なんか頼む奴はオカマだ、ということらしい。革命の国の男たちはマッチョなのかな。今の時代にLGBTを差別するなんて、自由を求めた国ということと矛盾する気もしてしまいますね。

ところで、主役の学生ダビド(ダビデ像のように彫りが深くて体つきがしなやかな)を演じた俳優の名前はウラジミール・クルーズっていうのね。カリブ海の姓とロシアの名前。革命の子なのかしら・・・。彼の来歴に必要以上に想いを馳せてしまうのでした。