映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィム・ヴェンダース 監督「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」1719本目

同じ映画をなんども見て、感想もまた書く。
その理由は、キューバに行って実際にこの中の生きているミュージシャンたちの演奏を聞いてきたから。

行く前は、社会主義になってから、演奏の場を失ったミュージシャンたちは気の毒だ。ライ・クーダーが彼らを再発見してくれてよかった。と思ってた。

でも行ってみたら、キューバの人たちは革命で勝ち取った平等を誇りに思ってた。ゲバラは今も現役のヒーローだ。イブラヒム・フェレーラはこの映画の中でもちゃんと言っている。母一人子一人で子供の頃は生活が苦しかった、今はそういう心配がなくていいって。彼らの演奏を聴けば、大きなステージに立たなくてもずっと音楽とともに生きてきたことがわかる。

Hotel Nacionale de Cubaっていう立派な国営ホテルでブエナビスタクラブバンドのコンサートをやっていて、
エリアデス・オチョアもバルバリート・トーレスも出てた。マヌエル・リセア・”プンティジータ”、ちょっと認知症かなという動きだけど映画のままのピオ・レイヴァ爺さん、この辺まではわかるけどあとはどうだったろう。司会のファン・デ・マルコスもいたのかな。オルランド・”カチャイート”・ロペス、アマディート・バルデス、マヌエル・"グアヒーロ"・ミラバール・・・。(翌日の出発が早かったのでメンバー紹介を聴き終わらないうちに出てしまったのです)コンパイ・セグンドは、セクシーでいたずらっぽい笑顔の写真がシアターへの入口の上に大きく飾られてる。

みんな健康で長生きだ。紅一点の素晴らしいボーカリスト、オマール・ポルトゥエンドは、本当に美しい。人間って年齢じゃないんだ、って初めて本当に思えた。造作の美醜とも関係ない。歌ってる彼女の心の中は恋する少女なんだよね。

なんかね、例えばマイケル・ジャクソンとかホイットニー・ヒューストンとか、常にスターであり続けなければならなかった人たちもいる。でもキューバのミュージシャンたちの屈託ゼロの笑顔が、世界中のどんなミュージシャンの誰かより不幸だとは全く思えないです。

監督が驚くほど後ろに隠れてる映画ですよね。あのヴィム・ヴェンダースなのに。というか、美しいものの美しさを際立たせることに徹するとこういう映画になるんだろうな、と思うとヴェンダース監督らしい気もしました。