映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

大林宣彦 監督「野のなななのか」1711本目

割と最近の映画なんだけど、日本古来の言い伝えみたいな、昔話みたいな、ゆるやかであかるい情緒のただよう映画でした。
自主映画として作られたんですね。北海道の夕張の隣の、芦別市で作られた映画だそうだ。
2時間半の長い映画だけど、ちょっと棒読みっぽいセリフがずーっと間を空けずに続いて、ついていくのがやっとでした。ストーリーはあまりない、というか、あるのは「設定」。どの人がどの人とどういう血縁で、あの人とこの人は親戚だけどどこかで出会っていて、・・・とわかりやすい設定がだいたいわかって、示されていない設定が少しずつ現れてきて、全部示されたところでフィナーレ。

反戦、反原発のメッセージも強いけど、映画全編にただよう情緒のおかげでやわらかく伝わってきます。
不思議だけどすごく美しい映画。そして意外なくらい他にはない、独特の魅力にあふれています。