映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アキ・カウリスマキ 監督「希望のかなた」1708本目

カウリスマキ監督の新作を劇場で見て来た。
やけに?というほど前評判が高くて、漠然と期待して行ったんだけど、ちょっぴり寂しい気持ちになる映画でした。
どこの国でも、普通の人たちはあったかいけど、管理システムを作ると必ず落っこちる人たちが出てくる。システムを作るのは普通の人たちだ。落っことす仕組みを作ってしまうのは普通のあったかい人たち。自分のような善良な普通の人たちと対局の悪が存在するからではない。

しかし、この監督に必須の「ニコリともしない人々」が、北欧だけじゃなくて中東にもいたというのは新発見!カーリドさんの実直な演技がとてもよかったです。犬のコイスティネンは思ったほど出てこなかったけど、可憐すぎる瞳の存在感はすごい。

スシ屋に転業したゴールデン・パイントの、スシを見たこともない人たちが作る「似ても似つかない何か」もすごいけど、日本からの観光団体を演じた素人に見える日本人たちは誰なんだろう。エキストラ募集してたら行ったのに!

私がこの監督の映画を見るのは、世の中の決まりごととか教訓めいたものを笑い飛ばすような冷めたユーモアを期待しているからなのですが、そういうものもたっぷりありました。カティ・オウティネンさんも健在。(さすがに年取ったなぁ)絶対全財産をするようなカジノの場面で大勝ちするとか。犬を抱いて掃除機をオンにした従業員がトイレに隠れて逃げおおせるとか。

私としては、この映画のもう一つ先に何かもっとスコーン!と突き抜けた世界を見せてくれそうな気がしていて、これからの作品も楽しみです。