映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督「ラブレス」 2035本目

愛のない家。愛のない家族。あまりにも、そのままなタイトル。

桐野夏生「柔らかい頬」の最後(ネタバレではないです)に、その後姿を消すことになる少女が、傷ついて、自分などどうなっても良いと思いながらふらふらと歩いているときに、犯人らしき人に声をかけられる場面があります。傷ついた子どもはたくさんいて、この映画のかわいそうなアレクセイ君みたいにふわっと世界から「離脱」してるのは、そういう子どもたちなのかもしれない。悪い大人の犠牲になる子も、 自分で決着をつける子もいる。

傷ついてるのはもちろん、子どもだけじゃない。母親もその母親も、親子の愛情が歪んで憎しみのような形を取ってしまっている。子どもを幸せにできるのは、幸せな親だけだ。

アレクセイが水ぎわの木に結びつけたリボンは、(僕はここだよ)という小さい声のように思えます。まだ誰も探しに来ないけど、いつか思い出して探しに来て、見つけてくれるかな・・・って。

ラブレス(字幕版)

ラブレス(字幕版)