映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケン・ローチ監督「天使の分け前」2034本目

 面白かった。でもハラハラした。ケン・ローチ監督の作品は、最後まで息苦しく涙が出るようなのが多いので、このヤンチャ者たちがひどい目にあうのかしら、でもコソ泥ばっかりやってるからある程度は制裁を受けるのも予想のうち・・・など、複雑な気持ちで見てしまいます。

ほんとに、彼らのヤンチャはあとちょっと節制するだけで「普通」という割と瀬戸際のところなので、こっちの世界に戻ってこいよと思ってしまう。

最後はなかなかヒドイことをうまくやらかして、まんまとトンズラしてしまうロビー。これもないよなぁと思うけど、地元では人間関係のせいで詰んでるし、地頭の良さと嗅覚をもってこの先生き抜いていけると思うと、痛快でもあります。

電話もネットもない世界なら、居づらい場所から姿を消して別の場所でやり直すのは簡単だっただろうけど、今の世の中で人生完全にやり直すには、このくらいの極端なことをやるしかないのかもね。

にしても、すぐその辺のものをくすねる髪の赤い女の子は、この先もちょっと心配だな〜〜。

天使の分け前(字幕版)

天使の分け前(字幕版)