映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

バンクシー監督「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」2031本目

<ネタバレだらけ> 

面白い・・・バンクシーって面白いよ。

これ、マイケル・ムーアのパロディだよね?“斬新で自由な才能のストリート・アーティスト”だの“世の中の不正を暴くドキュメンタリー監督”だのを、徹底的におちょくってる。。。だってMBW=Mr. Brainwashって、「洗脳された」バンクシーのロクでもないフォロワーの典型だし、Obeyって反発してるように振舞っても「服従」だよ。

バンクシーの作品をいくつか見たことのある人なら、これがシリアスなドキュメンタリーのわけがないことくらい、彼がよく見えるところに並べてあるヒントくらい、わかるよね。

タイトル曲の良い子っぽい「The Streets are ours」ってフレーズも、まるで佐野元春みたいにキレイキレイしてる。強烈・・・

しかしこうやって見てくると、Chim↑Pom井の頭線の渋谷駅の「明日の神話」に自分たちの絵を追加した事件も、バンクシー・フォロワーっぽく感じられるな。バンクシーはなんでも全て皮肉るから、あのミニ絵画のパロディだってやりかねない。

・・・その後ググったらMBWなる“アーティスト”が本当に活動している話がたくさん出てきた。冗談から出た真?ダウンタウンが番組で歌を歌ったら本当にヒットしてしまった、みたいな。バンクシーが与えてくれない「露出」や「グッズ化」をごっそり誰かにやってほしいっていう需要が世の中にはあって、バンクシーはそういうバンクシーの逆の“コマーシャル”を示して見せてるっていう実験かな。
バンクシーは最後のほうで、「アートは誰にでもできるものだと思ってたけど、今はそう思わない」というようなことを言ってみせるんだけど、本当は今もそう思ってる。MBWはティエリー・グエッタっていう実在の男の名演技によるバンクシーのアートなんだ、と私は思っています。