映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

岩井俊二監督「undo」2030本目

1994年の作品。

山口智子はあまりにも童顔で小さい女の子みたいにスレンダーなので、普通大人の女がやるとイタイことでも、彼女がなら「いたいけ」でいじらしく、痛々しさがつのります。ベランダに放置されて死んでしまう5歳の可愛い女の子みたいに。

緊縛ショー(いやもっと練られた美意識あふれるステージなんだけど)をやる女性がいて、大変頭のいいデキる人でかなり厳しく親に育てられたんじゃないかと私は思ってる。彼女と結びつけるのは失礼で申し訳ないんたけど、縛られて縛られてストレスを溜めて育つと、何もなくなったときにときどきそこに戻りたくなる。そこが結局のところ「ふるさと」だから。

岩井俊二の作品は荒涼とした絶望で終わることがない。この映画も、終盤まで(これはもうどっちかが殺すの死ぬのってところまでいくしかないか)と心配してると、解放的に終わるのでホッとする。今は割に平和な作品が多いと思うけど、若い頃はいろんなものを爆破させるような作品もあったんだな。いいな、若気の至り。

それにしても山口智子は可愛い。ある意味あのイノセントさはトヨエツよりやばい(狂気に近いという意味で)。

ちなみに私は今、おばちゃんでありながら歯列矯正中なのですが、いまどきの矯正はプラスチックの部材が多いので、金属の味はしません…多分…。

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