映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

古沢憲吾 監督「大冒険」2017本目

<ネタバレあります>

1965年の日本映画。高度成長期のサラリーマンものですね。クレイジー・キャッツ結成10周年記念映画、と冒頭に赤字で大きく出ます。たった10年でこんな映画を作ってもらえる大スターってすごいですね。アイドル、とは違うけど。特殊技術監督として円谷英二が名前を連ねてますよ。戦後まもなく建てられたようなアパートが並ぶ町と対照的な、ウルトラマンに出てくるような悪の総裁の豪華施設も見どころです。(ウルトラマンシリーズはおろか、「ウルトラQ」もこれより後。そんな時代にこんな映画を作ってたってすごいなぁ。)

植木等の映画は久しぶりに見るけど、この軽さ、ほんと所ジョージだなぁ。挿入歌の「誠に遺憾に存じます」は、一時期”冗談音楽”を集めてたときによく聞いてたので懐かしい(リアルタイムじゃないですよ)。

谷啓の妹役のクール・ビューティ、范文雀かと思ったら団令子という女優さんでした。越路吹雪の悪女っぷりはカッコイイ。越路吹雪とピーターって似てるよな・・・。

それはともかく。いつものお調子者サラリーマン映画のつもりで見ていると、警察からの本格的な逃亡劇、偽札づくりの国際シンジケートの総裁がまさかの「生きていたヒットラー」!植木等が「我々にとっちゃ少年時代の英雄だよ」っていう場面も衝撃です。

この映画って、テレビの人気シリーズの「映画版」みたいな規模感。いつもは会社と飲み屋と家を往復してるだけの男が、まさかの大事件に巻き込まれて、観客はあまりの成り行きに、ちょっと置いていかれたくらいの驚きと楽しみを味わうという・・・。これが「10周年記念」なのね!

調子のいい男が、やたら器用に馬を乗りこなしたりすごいアクションをこなしたり、知恵を使って巨大な悪の組織からうまく逃げ出したり・・・これってもしかして「ルパン三世」の元になってる?(なんてね)

ドイツの影響って今は普段の生活ではほとんど感じないけど、自分の親の世代は第二外国語でドイツ語を勉強した人も多いし、まだ同盟を組んでいたころの感覚が残っていたのかな・・・。

まさに荒唐無稽、今ならまさか実写で作ろうなんて誰も思わないスケール感。しかしこれが、その後の日本映画のあちこち(特にアニメ)に影響してるんだろうな〜と感じた、なかなか印象深い作品でした。これは見てよかった。

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