1957年の作品。
ジャケットのバイク二人乗りの写真、「ローマの休日」を思わせますね。すでに交際中だったという川口浩と野添ひとみの、瑞々しい演技がまぶしい映画です。
可愛くてスリムでどこか上品で、竹を割ったようなストレートな性格。この映画の野添ひとみは女子がみんな憧れるような女の子ですね。声もきれいで歌が上手く、しゃべるとちょっと甘ったるくてお嬢さんっぽい。松竹の音楽学校出身なんだ。
この映画ってたったの74分。短い映画って好き、目を離す間もなく最後まで見入ってしまいます。何にそんなに見入ってしまうかというと、高度成長期に向かう日本社会のなかで、それぞれどんな境遇でも、前しか見ていない素直でまっすぐな人たちの姿に惹かれるのかな。主役の二人が両方とも、父親が刑務所にいるという設定で今映画を作ると、多分けっこう荒んだ画面になりそうだけど、この頃の映画の中の人たちは「それでも、がんばれば今の生活から抜けられる」と信じてるのがいい。
タイトルのくちづけの場面が何度かあるけど、そこだけやけに自然で、慣れない相手との違和感とかドキドキとかがないな・・・かなり初々しい場面のはずだけど・・・(笑)