映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

森一生 監督「ある殺し屋」1980本目

1967年の作品。

うっかり続編「ある殺し屋の鍵」の方を見てしまったんだけど、こっちの方が評価が高いようなので、やっぱりこっちもレンタル。

不思議な魅力がある映画ですね。大映映画の暑苦しさが、市川雷蔵成田三樹夫の涼しさで中和されていて、なんかクールです。雷蔵の、しれっとした大胆さと几帳面さ。彼の言葉は全く無駄がなくストレートで、板についてるんですよね。着物の着こなし、立ち姿の完成度など、歌舞伎をやっている人にしかない美しさってありますよね。

成田三樹夫は本当にカッコいい。Mr.ビーンのようなヘルメットヘアだけど、姿かたちがいいし野川由美子はキュート。花柄の白いスーツがすごくおしゃれ。まだ幼い小林幸子!、安定の小池朝雄・・・。名前を知らない悪役たちも、なかなか色気があって素敵。

続編では踊りの師匠の殺し屋、名前は新田だったから、小料理屋をやっているこの映画の塩沢は別人という設定でいいですかね?名前と仕事を変えて生きてる、ってのもありうるけど、日本舞踊の師匠には一朝一夕ではなれないぞ・・・(そんな理屈はいいから)

この映画、時系列がすごくわかりにくいんだよね。野川由美子演じる圭子は一人二役か?と思ったよ。そういう妙な凝り方をしてるところが、突っ込みどころではあるんだけど、海辺の墓地の隣のボロボロのアパートとか、それと対照的なホテルの豪華パーティとか、なんとも味があっていいです。圭子が着物を着ていつも一人で行ってるホテルのレストランで食べている「ビフテキ」とか。(ホテルにいる時と小料理屋にいる時と、全く言葉遣いが違うんだけど、これはTPOというかコスプレみたいなもんかな。)

どこの海辺でロケをやったんだろう?最後に塩沢が乗り込む電車は、明らかに小豆色の阪急電車(駅の窓口には「日本国有鉄道」って書いてあるけど、、)。ネットで調べたら、全編神戸ロケという情報がありました。建設直前のポートピアのあたりかなぁ。今はもう日本中探しても見つからないような、ボロアパートと墓地だけの殺風景な海岸。この映画は本当に絵が素晴らしいです。色々面白いところがたくさんある映画でした。

ある殺し屋 [DVD]

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